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現代詩を語ろうぜ!!!!!

1 :吾輩は名無しである:2012/02/18(土) 02:37:44.94
みんな、現代詩を、好きなように、
語ってくれ!!!
ちなみに、おれは、第一次・二次戦後派の詩の中毒。

585 :アセンション ◆ZCAcNhb9dZs7 :2012/03/27(火) 23:52:17.73
>>574
ユトリロの詩は知らなかったなあ!

586 :知らなかったなあ:2012/03/28(水) 00:33:46.01
知らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ
らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ
なかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ
かったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ
ったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ
たなあ知らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ
なあ知らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ
あ知らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあ

知らなかった
知らなかった
知らなかった
なあ

知らなかった
知らなかった
知らなかった
なあ

知らなかった
なあ

知らなかった
なあ知らなかったなあ知らなかったなあ知らなかったなあコピペだからなあ

587 :吾輩は名無しである:2012/03/28(水) 00:36:00.42
ユトリロのこの詩は、結構画集とか図録に載ってたりするんだけどたいていは部分だけで、
たまたま全文を見つけたから張ってみた
でも題名が分からなかった

588 :アセンション ◆ZCAcNhb9dZs7 :2012/03/28(水) 01:01:29.38
>>586
それ詩?w
藤井貞和だったかな、「おなじことばをくりかえすとどうなる」という
フレーズが何度も繰り返されて、最後に「たいへんなことがおきる」、
というような(ごめん、うろおぼえで…)詩が確かあった記憶が。

>>587
いま少しぐぐってみたら、
福島繁太郎という人に「ユトリロの詩」という論文があるみたいだ。
http://ci.nii.ac.jp/naid/40003448848

589 :吾輩は名無しである:2012/03/28(水) 05:56:48.15
>>587
ユトリロさんの、詩を、読めるだけでも、
すごく、貴重な、経験。
貼ってくださって、どうも、ありがとう^^
>>588
福島繁太郎さんは、美術評論家みたい。
65才で、亡くなってるのかー、
若いなー。

590 :吾輩は名無しである:2012/03/28(水) 12:23:20.14
「お月様とけんかした話」稲垣足穂

 ある晩 ムーヴィの帰りにカフェーへ寄ると 隅っこの
テーブルで 大きなボールみたいな者がビールを飲んでい

「なんだ 今夜はへんなぐあいだと思っていたんだ もう
二時間もおくれている こんな所で飲んでいることがわか
ると 君はみんなからぶん殴られるよ」
 自分がこう云うと ボールみたいなものは肩をそびやか
して
「貴様の知ったことじゃない」
 と云い返した
「それでいったい責任がすむんかい」
「すむもすまぬもあるものか お前こそ早く帰れ」
「なんだと……」
「文句があるか?」
 そのままにして表へ出ようとすると やにわにうしろか
らビールびんが飛んできた それがカウンターの鏡に映っ
たので ひゅッと頭をかわすと びんは鏡に当ってパッシ
ャン!
「卑怯な」
「なにを不良少年」
「何をちょこざいなお月様」
「さあこい!」
「やるか!」

591 :吾輩は名無しである:2012/03/28(水) 12:38:36.34
>>590の続き

 お月様は短刀をひき抜いた 自分は椅子をふり上げた
お月様の仲間と自分の友だちが取っくんで転んだ たれか
がスイッチをひねった 真暗がり……椅子が飛んだ カー
テンが落ちた 植木鉢が割れた 自分はお月様の横ッ腹を
けりとばした お月様は自分の足を払った たれかが振り
廻しているテーブルのかどが自分の頭に当った フラフラ
としたすきにお月様は逃げ出した 六連発を出してズドン
ズドンと撃った お月様は逃げてしまった
 赤十字の自動車と警察の自動車がやってきて 怪我人を
しらべた 自分がポリスに報告している時 東の地平線か
らお月様がふらふらしながら昇ってきた 自分は憲兵の鉄
砲を借りて街上で片ひざを立てた ねらいをつけてズド
ン!
 お月様はまっさかさまに落ちた
 一同はバンザイ! と云った

592 :吾輩は名無しである:2012/03/28(水) 19:04:36.14
「学問の厳密さについて」. ホルヘ・ルイス・ボルヘス ; 篠田一士訳

「 ……その帝国では、地図作製の技術が極度の完成に達していたので、一州だけの地図が一市全体の大きさを占め、帝国の地図が一州全体をおおった。
時と共に、この法外な地図ですら満足のゆくものではなくなったから、地図学院は帝国の地図を新たに作り上げた。
これは帝国と同じ寸法で、一点一点、実物に照応するものであった。
時代が下るにつれて、人びとは地図学研究に対する興味を失い、このだだっ広い地図を無用の長物と考えるようになった。
そこで人びとは失敬にもそれを打ち捨て、無情な日や雨にさらした。
西部の砂漠に、今は野獣や乞食(こじき)の仮住居と化しているこの地図の断片がまだ見かけられる。
地理学の学統の遺物は、今全国にこれ以外には残っていないのである。

(スアレス・ミランダ『賢者の旅』第四巻四十五章、レプリダ、一六五八」

593 :吾輩は名無しである:2012/03/28(水) 22:09:56.23
>>592
ボルヘスは、確か、目が、不自由だったかな?
おれは、『創造者』しか、読んでないんですけど、
強烈な、想像力を、持っている人、だよね。
一度、まとめて、ボルヘスの、小説、読んでみるよ♪

594 :吾輩は名無しである:2012/03/28(水) 22:52:57.92
>>593
一応これは「創造者」っていう散文詩集に入っているので散文詩だといってもいいけど
それ以前には小説集に入ってもいた。
ボルヘスは他にも批評エッセイと小説に重複したり、という文章が散見されるのだが
彼自身の「xとは何か(x: 詩,批評,小説)」という問い自体を誘発している

595 :吾輩は名無しである:2012/03/28(水) 23:31:57.52
>>594
なるほどー。
今、アマゾンで、ボルヘスの、全作品を、
見てきたんですけど、本当に、人間大図書館だよね^^
「夢の中の月のほうが、はっきり、見える」
みたいな、ことも、おっしゃってて、
本当に、ボルヘスに、とって、読書は、
心の、支え、だったんだろうね。
おれと、おんなじ、だなー。
たしかに、ボルヘスの、言われるように、
枠組みなんか、取り払って、総合思想文学、みたいに、
楽しいね^^
おれの、『創造者』は、鼓直さん、訳なんですけど、
ガルシア・マルケスの、『百年の孤独』も、
訳しておられるね^^
おれの、押入れの中に、あるはず^^
まだ、読んでない、
楽しみです(^0^)b

596 :吾輩は名無しである:2012/03/28(水) 23:51:22.11
詩集何千冊くらいもってます?

597 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 00:52:54.07
>>596
その、質問、おれ、もらってもいい?
今、日本の古本屋で、詩集、見てきたんですけど、
『春と修羅』大正13年、初版、
いくら、やと、思います?
なんと!!!
85万円(笑)!!!
この野郎、古本屋、
ひとの、足元、見やがって!!!
85万、あったら、何に使う?
おれ、ドゥルーズと、デリダ、の邦訳揃える。
それだけで、おれ、Heaven♪
おれ、詩集、って、あんまり、持ってなくて、
でも、荒地派だけは、ほぼ、コンプリートしてます。
でも、荒地派、コンプリートするのに、
筑摩・弥生の、
『リルケ全集』(←「マルテの手記」の途中まで、読んだ)
『ウィトゲンシュタイン全集』(←なんか、変な、数字が出てくるとこ、まで、
読んだ)
を売りました(T0T)b
犠牲は、大きかった。


598 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 01:20:43.69
85万円か。賢治は、読者層がバカ広いからそれでも買う人はいるんだろうな。
やすいのかも。わからないけど。
85万あったら、その金で時間を買って、何ヶ月間か働かず本読んでたい。


599 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 01:51:56.53
そういう本って美術品的な位置づけなのかな
少なくとも読むための本ではないよね
わからなくはないけど、やっぱり俺もそういうものには価値を見いだしにくいなあ


600 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 02:00:19.99
85万円あったら賢治は妹の病気をなんとかできたはず。

601 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 02:24:48.58
賢治は金に困ったことなんか全くないだろ
>>600が当時の物価で85万円という意味でないならだがw

602 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 08:02:40.36
小谷野敦の書評
お前よ美しくあれと声がする (1970年)
松原 一枝著
在庫状況: 現在お取り扱いできません
5つ星のうち 4.0 矢山哲治の生涯 , 2012/3/25
先ごろ長逝した松原一枝の出世作、田村俊子賞受賞作である。戦前の福岡で、
同人誌『こをろ』を作り、島尾敏雄、阿川弘之、真鍋呉夫らと文学的交わりを
した詩人・矢山哲治が、太平洋戦時中、鉄道事故で25歳で死ぬまでを描いたも
のである。ところどころに挿入される矢山の詩がいい。詩の分からない私がい
いと思うのだからすごいものだ。松原の筆致がまたいい。たどたどしく、飛ば
し読みが出来ない。だが、読みやめることが出来ない。初心の良さであろう。
周囲の女性たちに、奇妙な恋心を抱くことの多かった矢山だが、それはまたこ
の時代の青年の一典型でもあったか。矢山哲治という、知らなかった詩人が身
近に思えてくる、不思議な書である。こういう名著が埋もれているのが、現代
というものだ。


603 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 09:31:28.39
水のなかで水がうたう歌  安水稔和

ゆったりとしていて
ゆったりと動いていて
そのまま空までとびあがれそうで。
自分の声で話せて
だまっていても
自分の声がきこえてきて。
自分の手でさわることができて
さわらなくても
自分の手でさわられていて。
おそろしいほどのことで
おそろしいことであって
あまりのことに
私はまったく青ざめてしまう。

604 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 11:32:44.27
>>566
「小林秀雄」と「中原中也」と「長谷川泰子」の名前を
消してだな。

605 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 14:45:29.65
>>598
おれも、働かずに、本だけ、読めたら、
幸せなのになー。
やっぱ、85万は、高すぎると、思う。
コレクターとか、賢治研究家の、人なんかが、
買うんだろうね^^
>>599
そうだよね、もう、美術品の、域だと、思う。
『春と修羅』だったら、文庫で、いいのが、
手に入るもんな^^
>>600
>>601
賢治さんは、けっこう、無駄な、研究も、
してたみたい。
錬金術的な、石を、他の鉱物に、変える的な(笑)。

606 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 15:00:58.88
>>602
哲治さんは、島尾敏雄さんとか、一丸章さんと、お仲間だったのかー。
すごく、こころの、深い部分を、突いてくる、いい、詩人さんだね。
>>603
怖さの中に、ユーモアが、あるけど、
狂気も、感じさせる、詩だね。



607 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 15:05:40.07
>>604
「田村隆一さん」と「北村太郎さん」と「田村明子さん」
に、変えると(笑)。

608 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 17:25:02.06
三角関係は詩というよりは小説の題材だね

609 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 18:39:16.99
>>608
どうしても、恋愛とかは、小説の、分野が、
強いですよね^^

610 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 18:39:20.66
小林の小説と映画化された小説の違いについての
考察でも読むんだな。

そのままモデルに作っても、信者の思い入れだけは
いっぱいに詰まった駄作が出来るだけだろ。

611 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 18:41:27.44
ドルーズよりはためになるかも知らんぞ?

612 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 18:47:11.16
中也のテレビドラマ YouTubeでめっけ

ドラマ「汚れっちまった悲しみに」1990年
http://www.youtube.com/watch?v=hhc9qH1t5Ts

めちゃくちゃイタそうだが…

613 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 19:21:38.34
おおー!!
ありがとう

614 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 19:24:59.88
>>610
なるほどー。
やっぱり、原作、真実に、勝るものは、ないと。
>>611
詩・文学は、哲学を、超えると。
>>612
すごく、面白いです。
おれ、やっぱり、こういう、京極夏彦さんの、
小説みたいな、退廃的な、時代が、大好きです^^

615 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 19:31:35.59
樋口可南子いい女だなw

616 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 19:32:51.36
ドラマ「汚れっちまった悲しみに」1990年 (@〜D各3話にカット 全15話)
作:中島丈博 演出:深町幸夫 音楽:間宮芳生
出演:三上博史 樋口可南子 古尾谷雅人 杉田かおる 佐野量子 樹木希林 杉浦直樹 他
.........詩は弄くり回すと死ぬぞぉ!
※冒頭部分、精神病院に入院のシーン、中也が帰郷中の下宿シーンなど勝手にカットしました。_(._.)_



617 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 19:34:39.43
「こうしていよう」さくらももこ

ここにいてもいいって
いつだれに言われたのでもないのにね。
ここに こうして わたしはいるよ。

雨が降ってるのを見たり
空が青いのを見たり
キンモクセイの花を見たり
みんなと しゃべったりしてるよ。

おいしいだとか うれしいだとか
とんだり はねたり
ブツブツ言ったりしてるよ。
ふしぎだね。
こうしていてもいいなんてね。
おもしろいね。
ラクだから このまま
こうして コロコロしていよう。

618 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 19:39:08.54
詩文学板に詩論のスレがあっても良さそうなもんだな。

619 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 20:07:40.60
マンガの挿し絵は抜きだぞおまいら…

620 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 20:13:52.48
http://www.hearts-words.jp/nakaharachuya.html
突然ですが、どうしても書きたくなったので、書きます。

中原中也は天才です。心から尊敬しています。
あれほどこの世界に存在する物事を正しく認識できていた人は人類の歴史の中
でもほとんどいなかったのではないでしょうか。
最近は、学校の国語の教科書もつい最近の人の文章を扱ったりするためか、3
0代らしき人でも「中原中也って誰ですか」なんてたまげるようなことを言う
恐るべき世の中です。中也さんの詩だけじゃなく、日記、評論、書簡その他を
読んだらたまげます。あの人は天才ですよ。宮澤賢治さんより上かもしれない。
私は8年ほど前に初めて読んで、それ以来バイブルになっています。パスカル
のパンセより上にあるものです。




621 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 21:08:02.38
見終わった。おもしろかったよ。
どれだけ事実に忠実なのかしら。みんなだめ人間に見えるがw

622 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 22:16:17.98
小林秀雄はリーリーフランキーがいい

623 :吾輩は名無しである:2012/03/29(木) 23:39:39.79
お好きな方へ。

詩・ポエム
http://toro.2ch.net/poem/
詩文学
http://toro.2ch.net/poetics/


624 :吾輩は名無しである:2012/03/30(金) 01:04:00.96
>>618
おれも、いろいろ、図書館なんかで、借りて、
詩論を、読んでるんですけど、本当の意味での、
詩論、例えば、自分の詩の、この部分は、
こういう、詩の理論で、作られている的な、
そういう、詩論は、なかなか、ないですねー^^
みんな、エッセイ、っぽい、といいますか、
遠まわしに、自分の、生活の、バックグラウンド的な、
ことを、語ってる感じですねー。
木原孝一さんの、『現代詩講座』、だったかな?
は、すごい、面白いです。
素人さんの、詩を、分析していく、みたいなことを、
されてます^^

625 :吾輩は名無しである:2012/03/30(金) 01:17:08.64
>>620
おれも、中也さんは、天才だと、思う。
誰かが、言ってたよ、
もし、宇宙人が、来たら、『山羊の歌』を、見せるって^^
もし、戦争を、経験されてたら、詩風が、変化したかも、
しれないね。
自分に、とって、バイブルに、なる、詩人との、
出会いが、あったっていうのは、本当に、良いことだね。
おれも、中也さんの、詩、以外のものも、
ぜひ、読んでみるね^^

626 :吾輩は名無しである:2012/03/30(金) 22:32:35.86
「迷い」千木貢

 商店街を通り抜けていくとき、似たような景色でありながら、行
きとはどことなく違うと感じていたら、突如巨大な鳥居にぶつかり、
違うことがはっきりした。どこで間違ったのだろうか、としばし立
ち止まり、来た道を頭の中で子細に辿って行くと、どうやら友人の
家を出た最初の曲がり角で右を左に曲がったらしい。それにしても
今まで気づかなかったとは、自分の迂闊さかげんに呆れるばかりだ
が、それ以上にまたなんと似た景色なのか、とそのことにも呆れて
しまう。八百屋の次が豆腐屋で、その角にポストがあり、ポストの
斜め前は薬屋で、薬屋の名は……などと、誰が自分の現に歩いてい
る道を分析するものがいるだろう。私たちは皆思い込みで歩いてい
るのだし、それゆえ迷ってしまうのだ。
 しかし、迷うことをなにも恐れることはないので、それが迷いで
ある限り、いずれは迷いから抜け出せるはずなのだが、どこか現代
人はせっかちで、迷いを取り戻すために費やした時間をひどく損し
たという気になってしまうのだ。かといって、いつも決まった道し
か歩いていない生活にも飽き飽きして、それはそれで合理的な人生
だとも思うのだけれど、どういう訳か、不意に訳の分からない衝動
に駆られて、わざと脇道に逸れたりする。それから背中にうすら寒
いものを感じて、あっ、と小さく叫び、慌てて元の道に戻ろうとす
るのだが、神様は意地悪で、一度迷ったらそんなに簡単には迷いか
ら抜け出させてはくれない。むしろせっかくの迷い道を楽しんでし
まえばよいのだけれど、なかなかそんな気分になれるものでもない。
(続く)

627 :吾輩は名無しである:2012/03/30(金) 22:41:45.14
>>626の続き

 この日は迷いの原因も摑めていたので、なんとなく安心していて、
ほんとうは面倒でも迷いの原点に引き返さなければいけないことは
分かっていたのだけれど、それはそれ、これはこれ、といった気分
のままに、鳥居を潜って迷いの道を先へと進んだ。鳥居の先には神
社があると思っていたら、それも思い込みにすぎないのか、神社な
どどこにもなく、途中でバタンと大きな音がして、気がついたら、
鳥籠のようなところに入っていた。「やあ、作戦、成功、成功」と
どこかではしゃいだ声がした。「手間が省けた」と誰かが笑いをこ
らえている。

628 :吾輩は名無しである:2012/03/31(土) 21:42:28.91
「階段」鶴見忠良

ぼくはもうどれぐらいの階段を
のぼりおりしてきたろう
きみらの足音の上に
ぼくの足音がのる
そしてまたきみらの足音が
ぼくの足音の上にのる
ああ 時間が
階段の下を流れ
どこまでも拡がる天井や壁に
はじけるぼくらの無数の靴音
ぼくの前には
きみらの背中や尻が
ぼくの横には
きみらの腕や肩が
ぼくの後ろには
きみらの胸や首が
ああ 踏みおろされていく
きみらのおびただしい一歩
ぼくの一歩
のぼっていくきみらよ
ぼくはなにか忘れものをしている

ぼくは
階段をのぼったりおりたり
困ったもんだ
ぼくはいつのまにか
だいじな時計をなくしちゃったんだ

629 :吾輩は名無しである:2012/04/01(日) 08:53:46.33
男だって虹みたいに裂けたいのさ

630 :吾輩は名無しである:2012/04/01(日) 13:20:16.16
「破船」谷川雁

象をころせ 獅子をころせ
しきりに水を飲む物語がはじまった
納屋の古い塩をとかして海をつくった

岸辺から酋長たちはしるしをみつけた
たいへんです 首が二つ生えてくる
あなたは複数を病んでいなさる

ゆっくりと別れの合図をした
棕梠の手触りする舟に穴をあけた
金星のようなおまえの眼で
みずから閉じるふさふさした尾を焼いた

男だって虹みたいに裂けたいのさ
所有しないことで全部を所有しようとする
おれは世界の何に似ればよいのか

(続く)

631 :吾輩は名無しである:2012/04/01(日) 13:25:39.19
>>630の続き

網をうて 燃える波がおれだ
苔くさい歯でふるさとの町を咬み
みしらぬ一匹の鰐となってはっていこう

無のぜんまいの奥で吐いている
おまえにひとかけらの鉄をくれよう

珊瑚の固さをもつ子宮だけに見える
やわらかな深層の工場から
はやむごたらしい釘音がのぼってくる

632 :吾輩は名無しである:2012/04/01(日) 13:35:24.89
「柱時計」淵上毛錢

ぼくが
死んでからでも
十二時がきたら 十二
鳴るのかい
苦労するなあ
まあいいや
しつかり鳴つて
おくれ

633 :吾輩は名無しである:2012/04/01(日) 13:38:05.57
「死算」淵上毛錢

じつは
大きな声では云へないが
過去の長さと
未来の長さとは
同じなんだ
死んでごらん
よくわかる。

634 :吾輩は名無しである:2012/04/01(日) 17:20:11.45
やっぱり雁はいいなあ

635 :吾輩は名無しである:2012/04/01(日) 20:54:46.02
>>634
634さんも、雁さん、ファンですか〜^^
おれも、雁さんの詩、大好きで、
次の世代にも、伝えなければ、と、
思っています^^

636 :吾輩は名無しである:2012/04/01(日) 21:22:42.81
「信州無頼」谷川雁

ひよどりの声が矢弦(やげん)をまわる風になった
落葉はまだ熊の物語をはじめない

旅とは単皮つまり足袋をはくことだから
はさみしか残らぬ虫の裁った布を
空にはじけるくさぎの実の劈開面にあてる

この地方にゆうひは禁じられている
一匹の邯鄲のなかに切羽があるらしく
つりがねそうの選炭機がちろろと鳴るばかり

おい 附子(ぶす)の根と冬虫夏草(せみたけ)でやろうぜ
頭蓋に刺さったやじりの錆などまぶしたら
紫も朱も坑夫の酒に似あいの色さね

道は円周率のまちがいをぶつくさぼやき
さっきから暗喩の腐るにおいがして
もうすぐ花札ばらまかれる十月とござい

637 :吾輩は名無しである:2012/04/02(月) 20:10:59.41
「を」東君平

誰のだったのだろう
道に「を」の字が 落ちていた
一瞬 自分のものではと思った
ほこりまみれの「を」の字

愛を 希望を 夢を 恵を
「を」が無ければ 祈れない
捨てたのだろうか
うっかり 落したのか

僕は ポケットの中で
自分の「を」を たしかめた
あるには あったけれど
こわれても いなかったけれど。

こわれても、いなかったけれど、ポケットか
ら出してみる気はしなかった。
それほどに、気力を失い、目的をも見失いか
けていた頃だった。

638 :吾輩は名無しである:2012/04/02(月) 20:11:51.16
>>637続く

639 :吾輩は名無しである:2012/04/02(月) 20:18:39.16
>>637の続き

次の日も、「を」の字は、同じ場所に落ちてい
て、もっと、ほこりを、かぶっていた。
その次の日も、そのまた次の日も、「を」の字
は、そのままあった。
僕は、とうとう「を」の字を拾った。
洋服のそでで、ぬぐってやると、すこしは、
きれいになった。
僕には、それから、小さなチャンスが訪れて、
元気を回復した。
その後も、僕は拾った「を」の字を大切に預
かっている。
もしかして、きみのだといけないから。

640 :吾輩は名無しである:2012/04/02(月) 20:31:42.75
「流れ星のノート」寺山修司

果物屋の店先には かならず傷のついたリンゴがまじっています
同じ一房の葡萄(ぶどう)のなかにも 一粒か二粒の痛んだものがかならず
ある
人生も同じことです
同じ日に同じ町で生まれても
すべて順調にいく人と 何をやってもうまくいかない人とがある
ここにおさめた傷ついた果実たちを
運がわるかったと言うのは 当っていないでしょう
彼女たちは より深く人生を見つめ
その裏側にあるものまで見てしまったのです
そして
そんな詩を書ける人こそ
ほんとの友だちになれる人なのではなかろうか

641 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 07:35:14.56
ブローティガンはどう?

642 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 08:32:34.99
ハナレメは駄目?(笑)

643 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 18:34:15.74
色々な詩を読みまくりたいけど、詩集は高いし手に入りにくい

644 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 19:49:02.92
ここのスレの詩はええよね。読み応えがある。

645 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 20:24:48.77
>>641
ブローティガンは、ケルアック、ギンズバーグ、バロウズ、
なんかの、ビート・ジェネレーションの、洗礼を、受けてる、
みたいだね。おれは、村上春樹さんが、たしか、エッセイの中で、
ブローティガンの、名前を、出されてて、それで、ブローティガンの、
ことを、知りました。ヒッピー・ムーブメントの、影響も、
受けてるみたいだね。
おれは、ブローティガンの、強烈な、笑いを、含んだ、詩は、
好きですよ。かっこいいよね^^
本国の、アメリカでは、あまり、評価されてないみたい。
日本では、ブローティガンの、ファンが、多いみたいですよ。
訳も、英語からの、訳だから、十分、ブローティガンの、
詩の、良さが、伝わってくる。


646 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 20:28:32.89
>>642
ハナレメでも、おれは、ぜんぜん、いいと、思いますよ。
逆に、ハナレメが、異性を、惹き付ける、その人の、チャームポイントに
なるかも^^

647 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 20:40:08.61
>>643
たしかに、たしかに、詩集、高いよね。
やっぱり、需要が、少ないと、思うし、製作側も、元を、取らないと、
商売に、ならないし。
643さんは、お近くに、図書館、あるのかな?
おれは、図書館で、思潮社の、『現代詩文庫』を、借りまくってます。
『現代詩文庫』の、シリーズは、いいよ、主要な、詩は、
だいたい、収録されてるしね。
その中で、気に入った、詩人がいたら、詩集に、手を出してみたら、
いいんじゃないかな^^
>>644
この詩の、スレ、気に入って、いただけて、
ここの、住人さん、きっと、喜んでます^^

648 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 20:54:30.79
俺も図書館で借りたりはしているけど、現代詩文庫は全部ないんだよなあ
それに詩集の場合、手元に置いておきたいというのもある
好きな時に何度も読み返したいし

649 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 21:04:16.00
「兵」鳴海英吉

おれが持っていた
成田不動さんの身代りのお守り
ロスケに上げた

君ら帰国
おれはこれから戦争に行く
中国の内戦て奴で
中国革命 闘う中国の兄弟のために
もう一度 戦争に行けと言う
そうさ 御苦労さまですと
偉い人は言わない
社会主義テ奴は 他人の世話をヤキすぎる
ほかの国のことなんか どうだっていいのに
なまじ社会主義国家に生まれて
祖国のためから 他国のために
革命のために 中国の兄弟のために
ために ために……
おれらのためには一度もない

君ら負けて戦争がなくていい
おれらは勝って戦争をコレからはじめる
中国
そこで靴ずれをつくり 下痢をして
あの黄色い泥のなかを這いまわり
いつまでも ぬかるみの なかで死ぬのか
今度は死ぬような予感がする

(続く)

650 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 21:22:30.51
>>649の続き

お守りをロスケにあげた
これなあー おれが軍隊に入ったとき
おふくろが 死ぬなと言ってくれた
身守り不動さん
おれはこれを持ってたので 死ななかったが
毛色の違うおまえさんに 御利やくあるか
でも とにかく おれ死ななかった
ロスケはあまり興味を示さないが
きれいな刺しゅう袋だと言った

さよなら もう会うことはない
この袋もらってゆく きれいだからなあー
さよなら とおれも言う
烈しく南に下ってゆく列車のきしみ
おれとロスケと ふっとすれちがう
「我が国の軍隊は世々 天皇の統そつし給う」
一しゅんの草がなぎたおされる鉄路
兵らあー この風にふかれる

ロスケに
金らんの長方形のお守り袋を上げた
ロスケは首から下げて 南の列車へ
戦争をいまからするのである
負けたおれらは復員するため
背負い袋を持って整列する

(続く)


651 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 21:29:24.54
>>650の続き

戦争に勝っても おれにとって
いい日は一つもなかった
そう言ったロスケは 去って行った
鉄路に子供のように耳を当てると
ごうごうときしむ音は 遠くかすんでいて
軋んで悲しそうに レールをならしていた
二本のレールは にぶく光っている

諸君!
これより 第三収容所に入る
ここからは ソ連人は一切入らない

652 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 21:50:31.41
>>648
そうかー。
おれなんかは、近所の、図書館が、小さいので、
ネットで、図書館登録して、ネットで、図書館同士で、
取り寄せて、もらってるけど、
たしかに、現代詩文庫、全部は、揃ってないかも、しれない。

ヤフー検索で、「榛名(しんな)まほろば」って、
検索すると、「榛名まほろば 重複詩集一覧」っていうのが、
出てくる。
これは、詩集図書館の、「榛名まほろば」さんの、「詩集、古書部」
なんだけど、「榛名まほろば」さんで、重複している、詩集を、値引きして、
売られています。
良かったら、一度、覗いてみ。

653 :吾輩は名無しである:2012/04/03(火) 23:24:31.84
へえ、初めて知った
というか、意外に家から近いかもw

654 :吾輩は名無しである:2012/04/04(水) 09:29:18.45
「遠い友よ」 蔵原伸二郎

風のなか
まひるの山の峠で出あった
あなたよ

こかげの岩かげで
二人はしばらく 蝉の声に
耳をかたむけ
遠い雲をみていたっけ

あなたはのぼり道 私は下り
あのひとときの出会い
みじかい対話
あかるいイメージ

風のなか 「さようなら」
桔梗が一本ゆれていたっけ
あなたは やがて

白い夏帽子に真ひるに陽をうけ
蝶のように
すすきのかげに消えていった

655 :吾輩は名無しである:2012/04/04(水) 12:55:57.77
>>654
伸二郎さんの、詩は、たしか、狐が、出てくる、
詩を、読んだ、記憶が、あります。
朔太郎さんの、影響を、受けておられる、みたいだね。
人生の、一瞬の、出会いと、別れ、
とても、透明な、中に、悲しみが、含まれた、
とても、いい詩だね。


656 :吾輩は名無しである:2012/04/05(木) 10:25:18.40
蔵原さんの「遠い友よ」はちょっときれいごと過ぎるような気もするけど
その前に貼られている鳴海英吉の「兵」のヒリヒリした別れと比べるとおもしろいな
まあ人生にはいろんな出会いもあればいろんな別れもあるってことだね

657 :吾輩は名無しである:2012/04/05(木) 10:46:13.31
>>656
ですよねー!!!
おれも、人生で、別れた、ことのほうが、多いもん。

658 :吾輩は名無しである:2012/04/05(木) 10:47:57.32
みなさんからして、
吉岡実さんの、詩の、評価は、どんな感じ?

659 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 00:24:06.93

「オウムは統一教会をラジカルにしたもの」
「オウムが行く前に統一教会が、ロシアに進出していました。ところが、そういう連中が、どうも何時の間にかオウム信者とすりかわってしまった。」
 【殺された石井こうきの発言から】

そうか、統一教会、オウム、朝鮮総連、民団→朝鮮人だらけの民主党

そして低視聴率反日大河ドラマ
すべて繋がっている


660 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 10:50:00.47
吉岡実さんの詩は僕にとり(現代詩のキーワードでもある)「難解な詩」そのものです。
読んでいるはしから言葉がするすると逃げていき、イメージができかけては崩れていくもどかしさ、
線や面ではなく点としてばらばらに散っていくような感じ、最後には放り出されたような気分になっちゃいます。
例えば僕にとって同じように難解といっていい谷川雁さんの詩では、読んでいる途中から言葉がぞわぞわ起きはじめて
読み終わったあとには何か大きな塊ができているような手応えがあるのですけどねぇ。
何だかうまく言葉にできず申し訳ありません。何か僕に新しい見方をご教示ください、あるいはオススメの詩などを。

661 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 12:27:52.70
>>660
何回か、吉岡実さんの、『全詩集』を、図書館で借りてきて、
読んでるんですけど、面白い、とは、思います。
けど、けど、吉岡実さんの、詩に、心を、打たれることは、
おれは、なかったです。
おれに、とって、吉岡実さんの、詩は、イメージを、
追いすぎていて、のめり込む、ことは、なかったですね。

谷川雁さんは、現代詩人さんの中で、ずば抜けてる、と、思います。
雁さんは、天才^^おれは、雁さんの詩、大好きです。
雁さんの、詩は、一行一行が、独立してるんですよね^^
ジグソーパズルみたいな、詩で(笑)。
なので、雁さんの、詩は、言葉を、噛みしめるように、
楽しんだら、いいと、思いますよ。



662 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 12:33:20.97
>>660
おすすめの、詩という、ことなんですけど、
660さんは、どんな、感じの、詩が、お好きかな?
試しに、黒田喜夫さんと、千木貢さんと、岩木誠一郎さんの、
詩を、貼ってみますね^^
黒田喜夫さんは、「毒虫飼育」「除名」っていう、詩は、
ヤフー検索で、出てきますので、ネットでは、読めない詩を、
貼ってみますね^^

663 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 12:50:32.00
「遠くから襲う幻」黒田喜夫

見る限り
樹がいっぽんもない
貝殻まじりの砂山がところどころ
盛りあがっている埋立地に
二重に有刺鉄線をはり巨大な眼球に似たライトをつけたのは
『夜と霧』のキャンプそっくりだが
ぺトン造り六角型 中空にせりだした守衛塔から見ると
ボディだけの貨物車や
塗りたての中型車のあいだをうごく人影は
静かにまじわっては離れ
終日 変りない
だが時折り数人の影が
車台のかげにかたまり
頭をよせ手をつきだしたりしていると
塔のうえで双眼鏡が廻り
樹がいっぽんもない
砂山がところどころ盛りあがっている埋立地を一撫で
それから焦点をむけて
眼下のパントマイムをのぞきこむ……

(続く)

664 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 12:59:36.00
>>663の続き



夕方 五時半
過ぎた冬の反合理化ストを脱落して任じられた見習守衛が
初老の目に双眼鏡をあてた
残業なのか 車列の人影をひとめぐり
埋立地を一瞥
しだいに暗くなる対岸へ廻わす
漁師町の屋根群(むら)
不似合なその上の空港ターミナル
N精鋼わきのガスタンク
と目を移したとき
不意に円型タンクの鉄骨から
小さく黒いものが堕ちるのを見た
ぐいと焦点遠ざけ 瞬間に
堕ちるにんげんの形をはっきりと見た

(続く)

665 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 13:24:00.74
>>664の続き

翌日の曇り
また霧濃い夕方
馘首の臨時工ガスタンクから飛降り
と小さく載っている新聞を傍においた初老の見習守衛が五時半
ふたたび対岸を眺めた
ぼんやり漁師町
輪郭くずれた空港ビル
かすむ円型タンクと目を移したとき
煙霧のなかにさっと堕ちる黒いものを再び見たとおもったのだ
仰天して
身投げだと口走った
またガスタンクから飛び降りだ
釘づけになり 慄える指で
しきりに焦点を合せたが
近くなる視界いっぱい
十字に手を拡げ頭を下に人の堕ちてゆく姿をまざまざと見た

しかも消えるとまた一人 二人 三人……
躰まるめ あるいは尺取虫の胴を屈伸させ
顔の目鼻さえ見せながら寸前に
拡大されたガスタンクの頂点から
ひょいひょい跳びだしてくる
つづけざまに煙霧のなかに映り堕ちてゆくのだ
とぎれとぎれの声をあげだした
窓わくにしがみつき 男の
遂にかん高い悲鳴となっていった

(続く)

666 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 13:26:57.76
>>665の続き

見る限り
樹がいっぽんもない
砂山がところどころ盛りあがっている埋立地に
悲鳴がひびき
その時ぱっと
白熱のライトが点けられた……

667 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 14:44:45.52
「風の駅」岩木誠一郎

地蔵様がふたつ
仲よくベンチに腰かけていそうな駅の
改札をぬけて
ぼんやりともる軒灯の
さびしさをくぐりぬけてゆく

夕焼けだ
わたしは不意に空腹を感じるが
たぶんそれはただしいことだろう
カラスが飛んでゆくほかは
しんしんと燃えるばかりの空に
どんなねがいも届くはずはないが

やがてだれかがやって来て
スライド映写機のフィルムのように
かたんと風景をはずしてゆく
最後の一枚だったのか
そのまま夜が訪れる

待合室にはもうだれもいない
地蔵様もどこかへ帰ってしまった
かざす指のさきから星は生まれ
わたしの空腹は満たされないまま
からっぽの大きな胃袋として
とうめいな夜の風に吹かれている

668 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 18:00:24.31
吉岡も雁もまだ最近読み始めたばかりなんだけど
俺はどっちも好きだなあ

669 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 18:36:13.01
>>668
吉岡実さんも、谷川雁さんも、
はまりますよー!!!

670 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 19:12:57.97
「UFО」千木貢

 最近妙に目覚めがよいと思っていたら、やはり予兆だったのか?
UFОを見た。ほかにも見たひとがいたにちがいない。近くの雑木
林が怖いほど赤く輝いて、UFОはそこから飛んだ。一瞬のことで、
雑木林は、すぐに何ごともなかったかのように、明け方の紫色の暗
がりの中に黒々と静まり返ってしまった。
騒ぎになるな、と思った。朝刊には間にあわないが、夕刊には何
人かの目撃者の証言が載り、ピンボケの、いかにも素人が慌てて撮
った赤く輝く林の写真が紙面を飾ることになるだろう。昼前にはテ
レビ局のヘリコプターが二、三台、小さな林の上空をうるさく飛び
回っているかもしれない。
 昼食を共にした勤務先の同僚にUFОのことを話した。レストラ
ンには残念なことにテレビが設置されていず、ニュースが見られな
かったが、同僚はホォッという顔つきをした。しかし、その後で、
現場に行ったのか、と聞くので、いや行かなかった、と答えると、
それは何よりだった、と言った。急に辺りを見回し声を低めて、そ
れは何よりだった、しかし、このことはあまり他人には話さない方
がよいだろう、と言葉を選ぶようにして言い、同僚はもうこれ以上
は聞きたくないといった素振りを示したのだった。

671 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 19:29:52.96
>>670の続き

 同僚の態度がどういうことを意味しているのか、そのときは全く
摑めなかったので、ちょっとした仕事の合間に、別の同僚に世間話
のようにしてUFО目撃の顛末を話しかけた。その同僚は、驚く様
子もなく、興味を示すのでもなく、というよりまるで無関心さを装
うかのように、時にあらぬ方向に視線をやった。気がつくと、何人
かの同僚が遠巻きにしてこちらをうさん臭そうに見ている。
 初め、だれもが信じられないからだと思った。いい大人が真剣に
なってUFОの話をするものだから、どう対処してよいのか戸惑っ
ているにちがいない。例えば、隣の同僚がタイムマシンで江戸時代
の深川を散歩して来たなどと突如面目に言い出したら、確かにど
う対処してよいかほとほと参ってしまうだろう。
 ところが、事態はそういうことではなかったのだ。
 上役に別室に呼ばれた。上役は、UFОを見たと喋っているよう
だけれど事実なのか、といかにも咎めるふうである。よくのみこめ
ず黙っていると、事実ではないよな、見てはいないよな、と今度は
慰めるように言い、なお黙っていると、そう、その沈黙が必要なの
だ、と妙に得心したふうに言った。

672 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 19:48:09.14
長い詩ってどうも苦手なんだよなあ

673 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 19:48:18.77
>>671の続き

 なんだか酷く憂鬱な気分になってしまった。もうUFОのことな
どどうでもよいと思った。同僚たちが避けているのは、UFОの話
題ではなくて、UFОという話題をもちだした当事者であるような
のだ。
 夕刊にはUFОの記事はなかった。テレビでも報じられなかった。
勤務先の同僚や上役の態度からある程度予測していたが、その通り
だった。報道機関に通報した者はだれ一人いなかったのだ。
 深夜、自転車で雑木林に行った。このあたりでは唯一残されてい
る自然であった。林の中で懐中電灯の光の環が交錯して、話し声が
聞こえた。ほら、やっぱり地面に焦げた跡がある、と弾んだ声がし
た。焚き火かもしれん、証拠にはならん、と否定する声もあった。
林の上のその部分だけ空が銀色に輝いているような気がした。そ
こにいるすべてのひとがどこか恍惚とした表情で空を見上げている。
自分だけの錯覚ではないと分かって思わず叫んだ、
 わかりますか?この林を覆う銀色の輝きを!巨大なUFОで
す。
 UFО?そういうものとはちがうでしょう(冷ややかな声がし
た)。
 じゃあ何です?何だというのです?
 だれも何も言わずに空を見上げていた。

 強いて言えば希望かなあ。
 ずいぶん時間が経ってから、ぽつりと呟いた者がいた。

674 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 19:54:16.41
>>672
あと、一息^^
がんばれ!!!

675 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 20:29:01.18

-----朝日新聞やNHKが煽る「国の借金」について

日頃メディアや、反日工作員が必死になって「国の借金」という単語を使い
財政破綻論を展開させていますが、現実、現在の日本には「政府の借金」1000兆円近く存在いたしますが、
「国の借金」は存在いたしません。

朝日新聞やNHKは、雇い主である中国共産党より日本人に対して不安や政府に対する不信を持たせ、煽るために
局内の共産党員を使用して既に数十年間、「国の借金」を連呼し続けております。

<違和感なく「国の借金が1000兆円もある」という幻想に浸ってしまっている一般の方々は、朝日新聞やNHKに見事に騙されて続けている訳です>

数十年もテレビや新聞から情報を得てきた方々の中には、「メディアが嘘を付く訳ない」と思う、そう思いたい方もいるでしょう。
  しかし、長い目で見れば、もともと戦前から日本を転覆させるために存在してきた報道機関ですから、
これくらいの嘘は朝飯前で御座います。

それでも、「国の借金は1000兆円ある」と考えをお持ちの方は、複式簿記の勉強をしてから、日本のバランスシートをご覧ください。
 
  実質中国共産党の持ち物でありますNHK、朝日新聞は、これからも嘘を付き続けます。デマを流し続けます。捏造し続けます。
     

  -------そのニュース、核心はデマだ。             長文失礼いたしました。---------- 

676 :吾輩は名無しである:2012/04/06(金) 23:38:51.91
 幻の家    佐川ちか

料理人が青空を握る。四本の指あとがついて、次第に鶏が血をながす。
ここでも太陽はつぶれてゐる。
たづねてくる空の看守。
日光が駆け出すのを見る。
たれも住んでいないからつぽの白い家。
人々の長い夢はこの家のまはりを幾重にもとりまいては
花弁のやうに衰へてゐた。
死が徐ろに私の指にすがりつく。夜の殻を一枚づつとつてゐる。
この家は遠い世界の遠い思ひ出へと華麗な道が続いてゐる。

677 :吾輩は名無しである:2012/04/07(土) 00:39:15.62
>>675
政府が、増税、増税というのは、
いいんだけど、
どうせ、俺たち、国民が、
負担しなけりゃ、解決しないことだし、
でも、その、増税の、結果を、
ちゃんと、責任もって、
新聞など、メディアに、
載せて欲しいよね。


678 :吾輩は名無しである:2012/04/07(土) 00:45:31.73
>>676
ちかさんは、たしか、25才で、亡くなられてるよね。
同じ、モダニズムの、北園克衛さんの、詩と、
読み比べても、やっぱり、死の、匂いが、濃い。
25才、という、年齢でないと、
この、詩の、感性は、持続できないと、感じる。

679 :吾輩は名無しである:2012/04/07(土) 09:41:09.01
 過去   吉岡実

その男はまずほそいくびから料理衣を垂らす
その男には意志がないように過去もない
鋭利な刃物を片手にさげて歩き出す
その男のみひらかれた眼の隅へ走りすぎる蟻の一列
刃物の両面で照らされては床の塵の類はざわざわしはじめる
もし料理されるものが
一個の便器であっても恐らく
その物体は絶叫するだろう
ただちに窓から太陽へ血をながすだろう
いまその男をしずかに待受けるもの
その男に欠けた
過去を与えるもの
台のうえにうごかぬ赤えいが置かれて在る
斑のある大きなぬるぬるの背中
尾は深く地階へまで垂れているようだ
その向うは冬の雨の屋根ばかり
その男はすばやく料理衣のうでをまくり
赤えいの生身の腹へ刃物を突き入れる
手応えがない
殺戮において
反応のないことは
手がよごれないということは恐ろしいことなのだ
だがその男は少しずつ力を入れて膜のような空間をひき裂いてゆく
吐きだされるもののない暗い深度
ときどき現われてはうすれてゆく星
仕事が終わるとその男はかべから帽子をはずし
戸口から出る
今まで帽子でかくされた部分
恐怖からまもられた釘の個所
そこから充分な時の重さと円みをもった血がおもむろにながれだす

680 :吾輩は名無しである:2012/04/07(土) 09:48:34.71
>>660です。3つの詩の引用乙です。
何よりもスレ立て人の詩が好きだという思いに圧倒されるようです。

黒田さんの詩を読むのは初めて、岩木さんと千木さんもこのスレで知りました。

岩木さんの「風の駅」は僕がもっとも好きなタイプの詩です。
言葉が美しいし、五音・七音が多いからか柔らかさ、歌謡性が感じられます。
ちなみに僕が貼った最初が辻さんの「船出」最近が蔵原さんの「遠い友よ」だから指向はあきらかwww

千木さんは前出の「迷い」並べても一貫した個性が感じられますね。
諧謔が孤独や不安、寂しさなどを包み面白く読めます。
これも以前貼られていたタルホがちょっと思い浮かびます。
ただ僕としては今回の「UFО」の最後の2行、あまりに説明的な気がしますが…

黒田さんの詩はこの3つでは一番切羽詰まった感じがして怖いですねぇ。
何だか下手なこと言ったら「伊達や酔狂で詩を書いてるんじゃない」と怒られそうな気がします。

いずれの詩も初めから終わりに向かい流れがあり、選ばれた言葉もおおかた流れの方向を
向いているように感じます。
吉岡実さんの詩が私にとって「難解」なのはその言葉がどこからやってきて
どこに向かうかが分かりづらいからだろうと思います。もっと読み込んでみます。
吉岡さんのことを書いたのだし、ひとつ貼っておきます。

681 :吾輩は名無しである:2012/04/07(土) 09:49:13.17
「静物」  吉岡 実

夜の器の硬い面の内で
あざやかさを増してくる
秋のくだもの
りんごや梨やぶどうの類
それぞれは
かさなったままの姿勢で
眠りへ
ひとつの諧調へ
大いなる音楽へと沿うてゆく
めいめいの最も深いところへ至り
核はおもむろによこたわる
そのまわりを
めぐる豊かな腐爛の時間
いま死者の歯のまえで
石のように発しない
それらのくだものの類は
いよいよ重みを加える
深い器のなかで
この夜の仮象の裡で
ときに
大きくかたむく


682 :吾輩は名無しである:2012/04/07(土) 11:03:04.25
>>679
吉岡実さんも、兵隊さんの、経験を、された人だけど、
やっぱり、詩の中に、死の影が、付き纏ってるね。
>もし料理されるものが
>一個の便器であっても恐らく
↑こういう、フレーズは、吉岡実さんでないと、
 出せないと、思う。
こういう、唐突に、現れる、フレーズに、
やっぱ、吉岡さんの、天才を、感じるね。

683 :吾輩は名無しである:2012/04/07(土) 11:20:00.35
>>680
680さんは、辻征夫さんから、蔵原伸二郎さんまで、お好きな詩の、
幅が、広くて、すごいね^^
おれは、昔、『辻征夫詩集成』っていうのを、持ってました。
「株式会社夕日」という、辻さんの、詩が、すごく、好きです。

千木貢さんは、わりと、散文詩が、多いんですけど、
すごい、上手い、書き手です。
日常の中に、潜む、不思議を、上手く、描かれますね^^

黒田喜夫さんは、詩に、生涯を、懸けた人で、
いつも、道を歩きながらでも、独り言を、いいながら、
作詩されてたらしいですよ^^
たしか、農民運動なんかに、関わっておられて、
谷川雁さんとも、友人です。

岩木さんの、詩を、お気に入りに、なられた、
というので、岩木さんと、詩の、トーンが、
似た詩を、貼ってみるね^^

684 :吾輩は名無しである:2012/04/07(土) 11:33:13.40
>>681
よく、吉岡さんの、「僧侶」と「静物」が、
対比されて、論じられたりするけど、
おれは、「静物」の、ほうが、大好きです。
『吉岡実全詩集』などで、通覧するのではなくて、
独立した、詩として、読むと、
やっぱ、吉岡さんの、詩、すごいいいね^^

685 :吾輩は名無しである:2012/04/07(土) 11:55:57.34
「朝の国から」三橋聡

人が去ったあとに
人がいる。
そして言葉と、
言葉のあいだでぼくは、
頬杖をつき。
草色の古墳公園で誰もが空を眺めてた。
ほんの一日。
ぼくたちにも昔があったっけ。
むかしむかし、
へたな鉄砲射ちがいたんだって
ある日はじめて猟にでて
でもそいつが殺したのは、
自分だけ……。
みんな嘘だ。
土曜日の午後。
さみしい王国をでて、
ぼくたちは少し水を飲み、
それから、
少しづつ土に戻る。

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